HONDA LABO

本田研究室

外注するか、内製するか

外注するか、内製するかというのはよくある議論だと思います。僕も正直、勘所があるわけではないですが、先日見た動画コンテンツ(*1)の中で「なるほど」と思った考え方がありました。

それは「列車の前を全力疾走しない」という考え方です。列車の前を全力疾走すると、走り始めたときは列車より早く走れたとしても、すぐに追いつかれ、結果的には列車にひかれてしまいます。

つまり、業界標準のソリューション(列車)があるのであれば、素直にそれを使うべきだし、自社のビジネスに関する深い知識を持っているエンジニアリソースは限られているので、それらは独自の優位性を獲得できるようなユニークな取り組み(これが内製対象)に集中すべき。ということです。

 

これと似たような話が日経コンピュータのヤフーの服部 典弘さんへのインタビューにもありました。

リモートワークを極める 社内ITの「脱・内製」を推進(2ページ目) | 日経クロステック(xTECH)

 

社内システムは内製をせず、貴重なエンジニアはできるだけ顧客向けサービスの開発に振り向けるようにする。社内システムの担当は、社内システムを作り上げるのではなく、SaaSの特性を理解しつつ、それらを組み合わせ、ユーザー部門と調整しながら、全体としての社内システムを組み上げるような役割に変わっていくことになる。

という話をされているのですが、これはすごく分かる気がしました。いまは世の中のスピード感が早いので、システムを作っているうちに陳腐化する恐れがあります。

  • SaaSを利用して素早くシステムを組み上げ、リリースする。
  • SaaSを利用することで運用負荷を軽減して、新しいことに稼働をかける。
  • 陳腐化のリスクを考えてなるべくSaaSを採用しCAPEXでなくOPEXにする。

ということが求められていると思っています。なお、記事の中では、利用する社内コミュニケーションツールは主にZoomとSlackと紹介されていました。

 

また、みんなの銀行 頭取の横田 浩二さんの記事も非常に参考になりました。

デジタル世代の銀行をつくる 「らしくなさ」を大きな価値に | 日経クロステック(xTECH)

 

「スタートアップがドッグイヤーとも呼ばれるめまぐるしいスピードでサービスを開発しているのに対して、銀行は1つ新しい機能を追加するのに1年半かかる。こんなスピード感ではいずれ競争にならなくなると感じたことが、新銀行を立ち上げるプロジェクトにつながりました」

と記事にあるように、スピード感が重要な競争領域(ユニークな取り組みをする必要がある領域)については、パッケージを使うのではなく、スクラッチで開発すべきだという話です。

もちろんパッケージにもよるかもしれませんが、何らかのカスタマイズをする際にパッケージの中のコードを教えてもらえないような場合は、自社のエンジニアではコードを触ることができず、ベンダーロックインされてしまいベンダーの都合の良いようにされてしまう可能性があります。

そういったリスクを避け、優位性を獲得できるような開発を継続的にすすめるためにはスクラッチという選択肢もあるかもしれません。

 

(*1)Coursera…AI For Everyone (すべての人のためのAIリテラシー講座)