HONDA LABO

本田研究室

自動化の推進と運用チーム育成の重要性

今日、目に止まった記事があったのでご紹介します。

 

中国で仕事する日本人が素直に感じた「このままだと日本ヤバい」

https://www.mag2.com/p/news/376210


中国北部の湖北省と呼ばれるエリアは、物価も安く、賃金も安いのに、なぜ機械化を推し進めるかのかといった考察がなされている記事です。

 

記者が中国湖北省の訪問先である工場に出向くと、工場構内は機械化がされていて整然としており、数える程度の工員しかいなかったといいます。

 

この理由について、この記事の中ではこのように考察されていました。

 

雇う側からすれば、仕事を覚えた頃には転職。人の入れ替わりが激しいと、ルールの徹底ができず品質が安定しません。そこで、生産の標準化を実現するために、費用がかかっても自動化や無人化を進めて、一定の標準化や規則に従うよう管理を行いたいという事のようでした。

 

この目線はIT業界でもぜひ参考にしたいと思いました。

 

日本のIT業界では、人の入れ替わりはもちろん、人材不足も非常に深刻です。運用スタッフは入れ替わりが激しいため、現場の品質は安定せず、プロジェクトマネージャー(PM)、プロジェクトリーダー(PL)の役割を担う人が、作業レベルの仕事に手を取られていることも多いと感じます。

 

当然、それらの人が行うべき仕事は、「新サービスを生み出すこと」「新規提案をすること」などクリエイティブな仕事や、運用設計における標準化、ルール化などです。

これらの仕事に集中させ、より多くのアウトプットができるように自動化技術を活用し、出来るだけ人の手を介さないような運用設計を行うことが大切だと感じました。

 

Ansible、Chef、Puppetといった技術はまさにこのためにあると言って良いと思います。

 

ただし、運用の仕事がゼロにはなることはないと考えています(どこまでが「運用」かという議論はありますが)。それは、いくら標準化、ルール化をしても、運用フェーズで出てきた課題の改善というタスクは残るし、顧客からの追加要求も出てくるからです。

 

そして、これらの運用フェーズにおける課題解決や、新規要求への対応を、運用チームで行えるようにすることも大切だと思います。それには運用開始時の、しっかりとした引き継ぎ(技術移転)も大切ですし、運用フェーズにおける開発チームとのつながりも大切だと思います。

 

つまり運用チームのメンバーの役割を、「運用スタッフ」「運用員」としてではなく「運用管理者」「運用リーダー」として捉えるように考え方をシフトし、育成していくことが大切だと思います。

 

「運用スタッフ」「運用員」の役割は、自動化ソフトウェアが担い、運用チームのメンバーは、それらに指示(実行)をする「運用管理者」「運用リーダー」というイメージでしょうか。

これらの人が既存システムの保守運用を行い、開発チームのPM/PLは新サービスの構築や、新規提案に集中できる環境を整えるようにすることが重要です。


また、記事の中では中国系企業のスピード感にも言及されています。

打ち合わせでは、その方と話をさせてもらったのですが、とにかく判断と決断が早い。ヘッドハンティングされているため、結果を求められる

多少コストが掛かっても、問題が解決してその後の運営の判断が良くなるなら全く問題ない。次の訪問時は提案と見積もり、関係者との手配と、30分の打ち合わせでスピーディに話がまとまりました。

このスピード感も大切にしたいと思いました。


まとめ

  1. 今まで運用スタッフが実施していた仕事は、可能な限り自動化する。Ansible、Chef、Puppetといった技術を積極的に取り入れる。
  2. 運用チームのメンバーは「運用スタッフ」ではなく「運用管理者」として育成していく。 
  3. 運用チームが「運用管理者」として成長していくことで、PM/PLレベルの人は本来の仕事に集中できるようになる。
  4. スピード感を大切にする。